
AGA(男性ホルモン型脱毛症)とは、日本人男性の薄毛の原因の9割以上をしめる、進行性の脱毛症のことです。おもな原因は遺伝1であり、生え際や頭頂部の毛髪が薄くなるのが特徴です。日本人男性の3人に1人がAGAだと言われています。
「なぜ、AGAになってしまうのでしょうか?」
それは遺伝により、髪の毛の成長の抑制をしてしまう物質が体内でつくられやすく、それが作用されやすい状態になっているからです。
AGAの人のヘアサイクルを下図に示しました(ピンクの矢印)。

~AGAになる簡単な流れ~
①ジヒドロテストステロン(DHT)がアンドロゲン受容体(AR)と結合
→ 毛乳頭細胞の核内に作用し、脱毛を促進
② TGF-β(トランスフォーミング増殖因子β)の増加
→ TGF-βは毛母細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導し、毛の成長を阻害
③毛周期(ヘアサイクル)の短縮
→ 通常の髪は成長期が2〜6年ですが、DHTの影響で数か月〜1年に短縮
→成長期が短いため、太くて長い髪が育たず、細くて短い毛が増える(ミニチュア化)
④毛包の萎縮
→ 毛包(毛穴)が徐々に小さくなり、新しい髪が生えにくくなる
⑤最終的に軟毛化・脱毛
→ AGAの特徴であるM字・O字の薄毛パターンが進行します
AGAは治療せずに放置すると進行していってしまうため、早期の予防や治療が重要です。 AGA治療では、髪の成長を抑制する「5αリダクターゼ」と「テストステロン」の結合(=ジヒドロテストステロン:DHT)を阻害することで、抜け毛の発生を抑えます。 また、血流改善・細胞分裂の活性化・細胞成長因子産生の効果がある薬を併用して治療していく場合もあります。
髪の成長を抑制する「5αリダクターゼ」と「テストステロン」の結合(=ジヒドロテストステロン:DHT)を阻害するお薬
毛包の血流を改善、毛母細胞を活性化、毛乳頭細胞からの成長因子分泌促進するお薬

また、治療薬の服用が最も効果的とされており、内服薬や外用薬が用いられます。
AGA治療には稀ですが副作用のリスクがあり、肝機能への影響、心血管疾患のリスク増加、性機能障害などが考えられます。症状や体調に変化があれば速やかに医師に相談することが重要です。


注釈一覧
- [おもな原因は遺伝]AGAの大多数(80〜90%)は遺伝が関与しており、遺伝以外の要因で発症するAGAは10〜20%程度と考えられている。
薄毛の主な原因
・AGA(男性型脱毛症):約9割。
・円形脱毛症:5%以下(自己免疫が原因)。
・休止期脱毛症:頻度が低い(ストレス、栄養不良、疾患が原因)。
・瘢痕性脱毛症:非常に稀(頭皮の損傷や炎症による)。
・その他: 健康状態の悪化や薬剤の影響。 ↩︎
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